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「著作権」は、著作権法上、文化の発展に寄与することを目的に 人々が著作物を公正に利用できるように配慮しつつ、著作者の権利を保護するために認められた権利です。
一般的に、音楽や絵画、小説、映画などを著作物といいます。
著作物は自然に生まれるものではなく、作詞者や作曲者などの著作者が時間や労力、資金等を掛けて創作するものです。
著作物を利用するときは、著作者の許諾を受け、その対価を支払うことによって、著作者は「創作費用の回収」「生活の糧」を得る事で 新しい著作物を生み出す活動を続けられます。
著作権法2条1項1号では、
著作物を「思想又は感情を」「創作物に」「表現したもの」で、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。
音楽の著作物には、曲のほかに歌詞も含まれます。録音や記譜されている必要はなく、即興演奏のような形で表現されたものも著作物になります。
なお、事実やデータは思想や感情が含まれていないことから著作物とは言えず、アイデアや理論はそれが具体的に表現されていないと著作物にはなりません。
また、作品のタイトルは、それだけでは創作的な表現(著作物)と認められないことが多いと言われています。
日本では、著作権は作品を創作すると同時に自動的に発生します。
登録などの手続きは一切必要ありません。作品を創作すれば、子どもでも大人でも、プロでもアマチュアでも関係なく著作権は発生し、著作者の死後70年が経過するまで保護されます。
著作権法17条2項及び著作権法51条1項の記載では、
著作権は「創作された時点」から創作した人に権利が発生するとあります。文章を書いたり、絵を描いたりすれば、誰もがその時点で権利者となります。出願や登録の必要はありません。
【著作権法51条〜58条】では、
著作権は 創作と同時に発生し、原則として著作者が亡くなって70年(死亡年の翌年の1月1日から70年)が経過すると消滅すると記載されています。
保護期間が満了した著作物は、著作権者の許諾なく利用できます。なお、無名・変名・団体名義の著作物(公表後70年)、映画(公表後70年)などの例外があります。
著作権は、人格や名誉にかかわる部分を保護する「著作者人格権」(作者の人格的な権利)と、著作者の財産的な利益を守る「財産権としての著作権」の2つに分けられます。(下図を参照)
1.著作者人格権
著作者人格権は、著作者(作詞者・作曲者など)がつくった作品を公表するかどうかを決めたり、勝手に変えられないようにするなど「人格的な権利」のことで、公表権、氏名表示権、同一性保持権、名誉声望保持権という権利があります。
著作者人格権は 著作者だけが持つことのできる権利(一身専属)で、他人に譲渡することはできません。著作権法18条〜20条において、著作者の権利には、財産的な利益を守る権利だけでなく人格や名誉に関わる部分を保護する権利が定められています。
・公表権 (著作権法18条)
未公表の著作物を公表するかどうか等を決定する権利。著作者は、著作物(自分の作品)を公表するかどうか、公表するとして、いつ公表するかを自由に決定することができます。
公表するかどうかを自分が決めるというのは、まさに「人格」に基づく権利だといえます。
・氏名表示権 (著作権法19条)
著作物に著作者名を付すかどうか,付す場合に名義をどうするかを決定する権利。
著作者は、著作物の利用に際して、氏名(クレジット)を表示するかどうか、どのようなクレジットにするかを決定することができます。
「著作物を利用するときは、きちんと自分が指定するクレジットを表示して下さい」と言えるわけです。
・同一性保持権 (著作権法20条)
著作者は、著作物のタイトルと、その内容を、自分の意に反して改変されないという権利をもっています。
音楽でいえば、作曲家に無断で、楽曲に別アレンジを加えることも「同一性保持権」侵害だと考えられています。
作品の改変は「著作権」の支分権のひとつである「翻案権」の侵害と同時に、「同一性保持権」の侵害にもなるわけです。
・名誉声望保持権 (著作権法20条1項)
著作者は、著作物を自分の名誉や声望を害するような方法で利用されないという権利をもっています。
編曲や替歌、訳詞などにより著作物を改変する場合は、著作権(財産権)だけでなく、改変の仕方によっては、著作者人格権が問題になることがあります。
人格や名誉に関わる部分を保護する著作者人格権は、著作権(財産権)の権利者と異なる場合があるので、著作者人格権について了解を得る場合には注意が必要になります。
※※
著作者人格権が侵害された場合は、著作者は「差止請求(112条)」「損害賠償請求(民法709条)」「名誉回復措置の請求(115条)」をすることができます。
2.財産権としての著作権
著作権(財産権)は、演奏権、複製権(コピー)、公衆送信権(インターネットでの配信)など複数の権利で構成されていて、利用方法ごとに「○○権」と定義されています。
そのため「著作権は権利の束である」と言われており、それぞれの権利のことを「支分権」と言います。
著作権の利用者は、それぞれの権利(支分権)に対して、利用の都度、利用者側で 著作権の管理者に対して利用手続き(利用許諾・使用料支払い)を行います。
例えば演奏するときには「演奏権」、録音するときには「複製権」の利用手続きが必要となります。
コンサートで演奏する、CDを発売する、配信、投稿サイト、テレビ・ラジオで楽曲を使用する 等々、著作権者(著作権管理者)は、音楽を利用する人に許諾してその対価として使用料を受け取ります。
・複製権(著作権法21条)
著作者がその著作物を複製する権利。
(著作物を 印刷、写真、複写、録音、録画等の方法によって有形的に複製する権利です。)
・上演権 及び 演奏権(著作権法22条)
著作者がその著作物を公に上演、又は演奏する権利。
・上映権(著作権法22条2項)
著作者がその著作物を公に上映する権利。
・公衆送信権 及び 伝達権(著作権法23条)
著作者がその著作物について公衆送信を行う権利。
(著作物を自動公衆送信、放送、有線放送したり、又はそれらの公衆送信された著作物を受信装置を使って公に伝達する権利。)
・口述権(著作権法24条)
著作者がその言語の著作物を公に口述する権利。
(著作物を朗読等の方法により 口述で公に伝える権利。)
・展示権(著作権法25条)
著作者がその美術の著作物 又は未発行の写真の著作物において、これら原作品により公に展示する権利。
・領布権(著作権法26条)
著作者がその映画の著作物を その複製物により譲渡又は貸与する権利。
・譲渡権(著作権法26条2項)
著作者がその著作物(映画除く)を その原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利。
・貸与権(著作権法26条3項)
著作者がその著作物(映画除く)を その複製物の貸与により公衆に提供する権利。
・翻訳権、翻案権等(著作権法27条)
著作者がその著作物を 翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他 懸案する権利。
(2次的著作物を創作することに及ぶ権利です。)
・2次的著作物の利用に関する権利(著作権法28条)
2次的著作物の原著作者は、当該2次的著作者が有するものと同一の権利を持つ。
※※
著作権は財産権なので、お金や土地などの資産と同じように その権利を他人に「譲渡」したり、「相続」することができます。
3.アーティストなど「伝える人」にも権利がある(著作権法89条〜100条5項)
著作権法では、「創作した人」である著作者の権利のほかに、アーティスト(実演家)・レコード製作者・放送事業者など、
著作物を「人々に伝える人」の権利である「著作隣接権」についても定めています。
著作隣接権及び、著作物(作品)の2次的利用については、他のページで詳しく記載しています。そちらを参考にして下さい。
4.著作権の制限について
著作権法では、文化的所産の公正な利用という観点から、著作者の権利を制限し、許諾を得ずに利用できる場合を個別に定めています。
(著作権法で制限される”著作権者の許諾なく利用できる場合”が規定されています。)
営利を目的としない上演等(著作権法38条)
高校の文化祭で生徒が開催するコンサートのように、下記の要件を“すべて満たす”場合、著作権者の許諾を得なくても上演・演奏・上映することができます。
・営利を目的としないこと
・聴衆又は観衆から料金を受けないこと
・実演家に報酬が支払われないこと
なお、この規定は、上演・演奏・上映する場合を対象としています。録音・録画やインターネット配信するときには適用されません。
私的使用のための複製 (著作権法30条)
個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的で、使用する本人がコピーする場合、著作権者の許諾を得ずにコピーすることができます。
ただし、違法にインターネット上にアップロードされたものと知りながら著作物をダウンロードする場合など、私的使用のための複製あっても違法となる場合があります。
その他 著作権の制限(著作権法30条〜50条)
「図書館等における複製」「引用」「学校その他の教育機関における複製等」なども著作権の制限がされます。