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日本の著作権法には、数種類の著作権登録制度が規定されています。
著作権の登録は、文化庁長官が著作権登録原簿(著作隣接権登録原簿・出版権登録原簿)に記載して行われ、このうち実名の登録についてはその旨官報で告示されます。
著作権法78条1項3項によると 誰でも登録原簿の閲覧等を請求することができるとあります。
登録の審査は形式的な書面上のもので、著作物の内容などは審査の対象ではありません。したがって、これらの登録には公信力はないとされています。
登録は、各登録制度ごと(下記2番目参照)に申請手続き及び費用が必要です。
そもそも日本法上(著作権法第17条2項)、著作物を創作するとすぐに何の手続を経る必要もなく著作権を享有できるとされているので、著作権の登録制度は権利発生の為の手続きではありません。
著作権が登録をしなくても発生する権利にもかかわらず「登録制度」が存在する主な理由としては、創作日などの事実関係を証明しやすくする為、著作権の移転などの権利変動を公示する為等があげられます。
著作権を登録をすることにより、著作者や第一年月日、創作日の推定がされます。又、権利変動においては、著作権を登録しなければ権利侵害等のトラブル発生時に第三者へ対抗が難しくなる可能性があります。
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現状では、「著作権登録」(著作隣接権登録)自体に法的根拠があまりない等の理由で 登録をする著作権者は多くありません。
1.著作権登録の法的効果
・著作者の推定効
著作権(複製権)侵害訴訟を提起したときに、請求が認められるためには、原告は「著作物の著作権を有すること」と「被告が複製していること」を少なくとも立証しなければならない。
そして「著作物の著作権が存在すること」の立証のためにはどのような内容でいつ創作したかということを明らかにする必要があるが、特性上、その証明は容易ではないし、世間に公表していない作品に関してはなおさら困難である。
このとき、創作年月日の登録をしておけば、この証明の問題はかなり容易になる。登録をすると推定効が働くため、事実関係の証明が容易になるというメリットがある。
・第三者対抗要件
著作権の譲渡は、当事者間の譲渡契約の締結のみでその効力が発生するが、登録をしなければ第三者に対抗することができない(著作権法77条1号)。
著作権を譲渡された者は、それを登録しなければ、後続の第三者に権利を奪われる可能性がある。譲渡契約の先後は問われない。
2.著作権の各種登録制度
・実名登録
日本の著作権法75条に規定されている制度で、実名を名乗らずに著作物を発表した著作者が、その実名を登録することができるという制度である。
・第一発行年月日等の登録
著作物の第一発行年月日か第一公表年月日の登録をすることができる。これにより、登録された年月日に最初の発行又は公表があったものと推定される(著作権法76条)。
登録を行えるのは著作権者か無名又は変名の著作物の発行者。次の創作年月日の登録と異なり、期間の制限はない。
・創作年月日の登録
著作物について、その創作年月日の登録をすることができる。これにより、登録された年月日に創作があったものと推定される(著作権法76条の2)。
登録を行えるのは著作者のみで、公表されていない場合でも登録することが可能。ただし、創作後6ヶ月を経過するとこの登録は行えない(同条1項但書)。
これは、実際の創作日よりも過去にさかのぼって登録をすることでこの制度が悪用されるおそれがあるためである。
・著作権の登録
「著作権の移転又は処分の制限」と「著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限」については、登録しなければ第三者に対抗できない(著作権法77条)。
このような権利移転の登録が行われることにより、誰が権利者であるのかということが明確になり、取引の安全に資することになる。
・著作隣接権の登録
著作隣接権の登録について著作権の登録の規定が準用される(著作権法104条)。
・出版権の登録
「出版権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限」と「出版権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅又は処分の制限」については、登録しなければ第三者に対抗できない(著作権法88条)。
3.著作権の登録手順